意外と知らない近代の大量虐殺。
「大量虐殺の社会史ー戦慄の20世紀」
何の流れでこの本を借りることになったのか、ちと覚えがないが。
期待以上の内容であった。
近代で起きた大量虐殺について書かれた本には
殺戮データの羅列や拷問内容の羅列などに終始してしまうものが多い。
この本は、虐殺を行った国の情勢、その国の周りの当時の情勢、世界の情勢、
虐殺された民族の事情、結果など、虐殺に至る過程を丁寧に書きだしている。
私が知りたいのは本当にそこ!
肌の色が違えど、宗教が違えど、今まではお隣のコミュニティとして何とか折り合いをつけて生きてきた人たちがある日、絶滅を願うところまで行き民族浄化が始まる。
何をきっかけにそんな狂気に至るのか、それも国家単位での狂気だ。
簡単に「民族浄化」言うけど、簡単じゃないよ~。石投げて済む問題じゃないし、
浄化される側は必至で抵抗するし、かなりの大仕事。
やはり国民大多数の狂気と国単位での権力が動かないと始められない。
そこまでのことが何故、何をきっかけに起きるのか。
この本は丁寧に、かつ簡潔に書いてくれていてよろしい。
この中で特に興味を引いたのは「トルコによるアルメニア人虐殺」
これ、私は知らなかったし、知ってる人は少ないのではないかな。
自分の無知を恥じ、この地方の歴史にまったく無知なことを恥じ、
このあたりの本を借り始めることとなる。
IT立国アルメニア -中東・コーカサスに輝くシリコンバレー-∥牧本 次生/著∥東京図書出版∥2015.5
黒海地域の国際関係∥六鹿 茂夫/編∥名古屋大学出版会∥2017.2
コーカサス国際関係の十字路(集英社新書 0452)∥廣瀬 陽子/著∥集英社∥2008.7
チェチェンで何が起こっているのか∥林 克明/著∥高文研∥2004.3
肌の色の違いや宗教の違い、そんなものは実は紛争の原因ではないと私は思っている。
紛争の原因は経済的格差だ。
誰かが家族を養えないほど飢えていて、不公平を感じたときに紛争は起きると思う。
その不公平の原因がたいてい、人種の違いか宗教の違いだからだ。
もし、自分の家庭が裕福で大豪邸に住んでいて、
隣の大豪邸に裕福な外人さんが住んでいたとする。仲良くなれるよね。
「金持ちけんかせず。」
だから私は願う。世界中の子供たちが、
「今日の夕飯はなんだろうな~!」と思いながら家に帰れる、そんな世界を。
誰一人、飢えない世界を。